広告の最近のブログ記事

私は、『メディア企業』に所属をしている。

 以前は、企業でメディアを利用する側であったが、『WEB』というものに可能性を感じれば感じるほど、『マスメディア』と言われた、旧媒体とWEB媒体という新しい媒体の出現による広告産業の構造変革に興味を持ち、この業界が入った。

 ただ、『WEB』の可能性という観点では、こと『収益』という観点で考えた場合どこまで可能性があるのかは正直以前ほど、可能性を感じていない。その辺の心境を踏まえて広告業が今後どのように展開していくのかを考えてみたい。

媒体の効果指標とその価格
媒体 効果指標 価格帯(参考値)
新聞 発行部数 段単価:数十万円
TV 視聴率 スポット単価:数万~数十万円
WEB PV数(or CVR)など 1imp:数円など

上表のようにもの凄い乱暴な切り口で言うとこのように整理されるのではないか?

 これまでは、電波や新聞というある意味で保護された中でビジネスを運営できたが、その『保護』自体が、誰でも情報発信のできる『WEB』の出現により根底から広告ビジネスが崩されているのが現状である。

 また、WEBの指標の『PV数』というテレビの『視聴率』なみに評価が曖昧な指標に甘んじてしまっているのも現在のWEB広告の難点かもしれない。大手の WEB媒体のバナー価格は、TVなどに勝る価格になっているが、それが本当にTV広告の効果に勝るものなのか?甚だ、疑問に思う部分がある。

 新聞であっても、発行部数や1人当たりのページ閲覧数の平均を調査すれば、PV的な数値が努力すれば出るのではないか?広告で評価が難しいのは、媒体ごとの統一した評価基準が無いことなのかもしれない。もし、仮に広告の評価基準が一定になるのであれば、本当の意味での『媒体価値』は算定でき、価格もおのづと決まってくるのではないか?

 やれ、新聞広告が高い、効果ない、視聴率が低いからという声は、広告評価基準が媒体間で一定であればそれは、明確な媒体価値として紐付けられるはずである。そのような基準にたてば、新聞広告が高くないかもしれないし、WEB広告が安すぎるのかもしれない。

 もっと言えば、『媒体力』とはなんぞやと問えば、これまでは『集客力』だったかもしれない。ただ、今後クライアントに真に求められることは『費用対効果』のはずである。『費用対効果』の前で、『媒体力=集客力』という指標は、もしかしたら何の意味も持たない確率論になっていくのではないか?

ANN より、2008年第3四半期の米国の新聞社の広告収益に関する資料が発表されました。

US_newspaper.gif




















(出典:ANN『Advertising Expenditures』より)
第3四半期単独でも、
【Total Print】(新聞広告収益)⇒約20%減
【Total Online】(WEB広告収益)⇒3%減
と非常に恐ろしい状況となっている。これは、現状の『不景気』による一時的なものなのか、それとも『マス広告』の明らかな衰退を意味するのでしょうか?
日本の新聞社も、多かれ少なかれこの状況と同様の状況に置かれてしまうのではないだろうか?新聞社として生き残って行くためには、どのような事を模索する必要があるのか?このような疑問に対して、『News Corpのマードック氏のコメント』がありました。

(以下、マードック氏のコメントを引用させていただきます。)
「かつては、何がニュースで、何がそうではないかを判断できるのは一握りの編集者だけで、彼らは一種の神のように振る舞っていた。彼らが記事を掲載すれば、それがニュースになり、彼らが出来事を無視すれば、その出来事はそもそも起こらなかったことになる。今では、編集者はこのような力を失いつつある。たとえば、インターネットでは、編集者が無視したかもしれない出来事に関する多くの情報源にアクセスできる。そして、それに満足できなければ、自分のブログを立ち上げて、自分でそのニュースを取り上げ、コメントすることができる。ジャーナリストは、自身は番人であると思いがちだが、一般の人々が彼らに説明を求めても、必ずしもきちんと対応してきたとは限らない」(Murdoch氏)

時代が変わり、多くの媒体の役割も変わっていく中で、記事を書く当事者たちの意識を変えていく必要があるのではないでしょうか?

(更に、マードック氏コメント引用)
「新聞が読者に信頼できるニュースを提供できれば」今でも発行部数を伸ばすことができると述べた。また、RSSフィードやターゲットメールなどの最新技術を取り入れる必要があると付け加えた。Murdoch氏によれば、課題は、「新聞のブランドを使いながら、読者が自分でニュースを選び、好きな方法で配信してもらえるようにする」ことだという。

 「新聞、あるいは非常に近い存在である電子新聞は、これからも存在し続けるだろう。現在のように、玄関先に投げられることはないかもしれない。しかし、届いたときの音は今後も社会や世界中にこだまし続けるだろう」(Murdoch氏)

サービスの形を変え、生活者に情報や情報取得方法を選択させることができる新聞社が、この先も生き残っていけるのではないでしょうか?『新聞』にスポットを当てましたが、全ての紙媒体やマスメディアにも同様のことが言えるのではないでしょうか?

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