安全性分析とは、企業の支払い能力や財務面での安全性を分析するための手法のことである。安全性が低い企業は、支払能力の面で不安があり、倒産のリスクが高い。
1.安全性分析の意義と体系
【安全性分析の分類】
●短期安全性分析・・・・流動比率 当座比率
【意義】 企業の短期的な支払手段と支払義務の対応関係を分析するもの。短期的な支払手段が確保されているかどうかの分析
①流動比率(%)=流動資産x100/流動負債
【意義】短期的な支払義務(1年以内に支払義務がある流動性負債)に対して、短期的な(1年以内に現金化できる)流動資産がどの程度確保されているか。
②当座比率(%)=当座資産x100/流動負債 ※当座資産=現金及び預金+受取手形+売掛金+有価証券 受取手形、売掛金は、回収不能額を見積もった額で貸倒引当金を控除後の回収可能額。
【意義】流動比率の分子の流動資産を、より回収可能性の高い当座資産に置き換えた指標
●長期安全性分析・・・・固定比率 固定長期適合率
【意義】企業の長期的な運用資産と資金調達手段の対応関係を分析するもの
③固定比率(%)=固定資産x100/自己資本
【意義】1年超の期間運用が行われる固定資産が、返済義務のない自己資本によってどの程度カバーされているかを示す指標
④固定長期適合率(%)=固定資産x100/(自己資本+固定資産)
【意義】1年越えの期間運用が行われる固定資産が、長期資本(自己資本、固定負債)によってどの程度カバーされているか。調達源泉は、長期資本であり、適合率は100%以下が望ましい。
●資本調達構造分析・・自己資本比率 負債比率
【意義】資本調達構造における他人資本と自己資本への依存度を計算し、その安全性を分析する
⑤自己資本比率(%)=自己資本x100/総資本(総資産)
【意義】総資本に占める自己資本の割合を示す。
⑥負債比率(%)=負債x100/自己資本
【意義】他人資本と自己資本のバランスを評価するための指標
●インタレストカバレッジレシオ
【意義】本業の利益である営業利益及び財務活動で稼いだ金融収益が、支払利息などの金融費用の何倍であるかを表す指標。指標は高い方が良い
⑦インタレストカバレッジレシオ(倍)=事業利益/金融費用